節税対策 短期前払費用

一般的に良く知られている節税の手法で「短期前払費用」を利用したものがあります。
税金は減るのですが、細かい条件など注意点もあるのでご紹介していきたいと思います。

短期前払費用の特徴 

短期前払費用とは翌期に支払う費用を1年分前払いすることで、当期の費用にできる特例です。
当然、費用が増えれば利益が減るので払う税金も減ります。
また、決算間際に支払うものなので、直前でも対策可能です。

短期前払い費用を利用するときの注意点

・前払いなので先にキャッシュが出ていく→金額の大きいものだと資金繰りに注意が必要です。

・節税したい気持ちが先行して要らない支出をしない→特に注意が必要なのは保険です。必要な保障内容なのか?など、中身の検討をあまりせずに不必要な保険に入って税金以上にお金だけ出ていってしまうという例も散見されます。

最初の1年しか効果がない→前払いして費用が増える(当期分+翌期分)のは初年度だけです。翌期以降はその翌期分を前払いするだけになります。

・適用するには条件がある→次で詳しく紹介しますが、税務署から否認されない為には注意が必要です。

キャッシュリッチな会社で資金繰りに余裕がある場合や、少額な前払いであれば、その支出の内容が本当に必要なものかどうか?などに注意すれば問題になることは少ないでしょう。
支払う額が大きい場合や、新たに加入する保険など支出の内容はよく検討する必要があります。

短期前払費用の条件 

1 一定の契約に従って継続的にサービス(等質・等量で時の経過で費用となるもの)の提供を受けるもの

難しい表現ですね。契約に基づく(口約束とかダメです)というのはともかくとして「等質・等量のサービス」「時の経過で費用となる」とはどのようなものか?

具体例としては、保険料、倒産防止共済の掛金、地代家賃、リース料などが該当します。

逆に該当しないものとしては弁護士・税理士等の顧問料、雑誌広告料などがあります。

税理士の中でも自分の顧問料を顧問先に前払いしてもらい適用している例があるようです。
しかし、原則的には顧問料はその都度に税務相談や記帳代行などのサービスを受けているので、等質・等量のサービスには該当しないのでダメです。

雑誌広告料は雑誌の発刊の度に掲載されてサービスを受けるものなので、時の経過で費用となるものには該当しません。

2 支払った日から1年以内にその役務提供を受けるもの

1年分を前払いするということです。
具体的には3月決算法人の場合だと「3月中に翌期4月~3月分の家賃を支払う」というものが該当します。
細かいようですが、2月に翌期4月~3月分の家賃を支払った場合は、支払日(2月)から役務提供を受ける最終日(翌期3月)が1年を超えているのでダメです。

3 重要性の低いもの

これも専門的な話になって難しいですが、重要なものは「きっちりと役務提供を受ける事業年度で費用処理(支払ったときは前払処理)してください」重要でないものは「簡便的に前払いした事業年度の費用で構いません」ということです。

では重要かどうかの判断は何か?となると「金額」です。
金額の大きいものは影響が大きい(=重要)ので認めないということです。

この金額については明確な基準がないので注意が必要です。
実際に裁決事例などで否認されている例を見ながら常識の範囲内で判断することになります。

4 当期中に支払っていること

前払いなので当期の間に支払っていることが必要です。未払いはダメです。

5 役務提供の対価であること

サービスの対価だけが対象になります。「品物」の購入は役務提供にはなりません。
具体的には雑誌の定期購読料などは該当しないということになります。

6 毎期継続適用すること

一度短期前払費用としたものは来期以降も同じ処理を継続する必要があります。
「今期は利益が出そうだから前払いして、来期は赤字だからやめた!」ということはダメということです。

7 売上・収益と対応関係にないもの

これも専門的な話で難しいですね。
売上・収益と対応関係にあるものは「原価」です。つまり、売上原価に含まれるものは等質・等量サービスだったり、時の経過で費用となるものだったりしてもダメということです。

具体的には、事務所家賃など売上と対応関係にない固定費になるようなものは大丈夫ですが、賃貸物件を自分が借りて転リース(又貸しのことです)する場合の支払家賃は、自分の家賃収入の原価になるのでダメです。

まとめ 

短期前払費用の取扱いについて専門的な話も含めて書いてきました。
顧問料や金額の基準など税理士でも曖昧になっていて判断に悩む部分もあります。実施するときは顧問税理士によく相談して行いましょう。

また、経営者の本業は経営です。節税する為に資金繰りの悪化や不要な支出してしまうなど、経営のマイナスになるようなことなら本末顛倒です。
税金の額だけにとらわれないことが重要だと思います。

 

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